骨粗鬆症(骨粗しょう症)

椎体形成術PVP or BKP

 写真は圧迫骨折で疼痛が強い人。椎体形成術中のレントゲン像から。




1.骨粗鬆症の一番の問題は死亡あるいは痴呆になること

 背骨が曲がったり、腕が些細なことで折れるのも困るが一番困ることは大腿骨頚部骨折をおこし、寝たきりになる結果、多くの方が死亡したり、運良くまのがれてもかなりの方が痴呆症になります。
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米国の調査では大腿骨骨折の方の24%が1年以内に死亡します。(寝たきりによって引き起こされる肺炎が原因のことが多い)
 ・痴呆症の原因でも骨粗鬆症によるものが20%もあると言われております。
 ★かなり多くの医師、それに国民も’たかが骨’と考えていた!



2.骨粗鬆症(骨粗しょう症)は女性の病気。この病気の多くが女性です。
 
男性にも起こりえますが、よほど高齢にならない限りおこらず、問題となる多くは女性です。
 華奢な女性は閉経後間もなくから、つまり比較的若い年齢から発症します。


体型(身長・とくに体重)・遺伝がこの病気の60%以上の原因を占めます。

プロレスラーのような体型の方には少なく、ポパイのオリーブのような方に多いです。ただ、肥満者にも変形性関節症という難敵がおります。



 ★若い人とは違い、骨折するとなかなか骨はくっつきません。なにせ骨自体がスカスカ(粗)なのですから、難渋するのは容易に想像できます。土台となる骨が悪いので、たとえ金属で固定してもすぐにゆるんでしまうことが多い。まさに「糠に釘」!
★★★なぜ、男性に少ないか?
 
女性と違い、男性の男性ホルモンは高齢後には徐々に減ってきますが、比較的保たれています。その男性ホルモンの一部が各組織で女性ホルモンに変換されます。その変換された女性ホルモンが男性の骨を維持していることが最近の研究から分かってきました。もちろん、元々の骨組みが丈夫なこともありますが、それだけでは説明がつかないこの病気の男女差はこんなところにあります。



 人間の最大骨量は16〜20才にあると最近分かってきております。上のグラフにもあるようにこの最大骨量を増やすことと、閉経後急速に減少する骨密度をいかに抑えるか、この2点が骨粗鬆症予防の鍵です。
 
若いうちにダイエットをし過ぎれば老後に必ずひびきます。何事もほどほどに。40才くらいまでは一定を保ちますが、閉経を迎えた後の10年は骨密度は急速に減少します。エストロゲンが出なくなると若い頃のようにカルシウムの吸収ができにくく、取っても取っても便や尿に出ていく状態になってきます。
 
最大骨量の大きい人は多少失われても骨粗鬆症にはなりませんが、元々少ない人が閉経を迎えた後が恐いのです。一度自分の骨密度を測りましょう。ところで骨は骨格として姿勢を保つ機能だけでなく、カルシウムの貯蔵庫としての働きがあります。
 体の中のカルシウムの99%が骨にあり、血液中のカルシウム濃度を一定に保つために常に骨からカルシウムが供給されています。
 
はなぜカルシウムが血液中に一定量必要なのでしょう。それはカルシウムなしで人間は生きてゆけないのです。筋肉を動かすにも頭を使うにも何をするのにもカルシウムが必要なのです。
 若い間は需要と供給のバランスがとれていて骨にある貯金を使わなくても生きていけますが、閉経を過ぎるとそのバランスがくずれ貯金をつぶしての生活に入ります。そこで若い頃の貯金つまり最大骨量が大事なのです。
 ”血液検査でカルシウムが正常だから大丈夫”などという愚かなことはもう言わないでください。骨粗鬆症の人の血液のカルシウム濃度は正常値を示すことはお分かりいただけたでしょうか。
 この正常値を保つために骨はどんどん貯金を減らします。こうして骨がスカスカになる人が骨粗鬆症です。このバランスを崩す原因はエストロゲンの不足です。
 骨は骨芽細胞といって骨をつくるほうと破骨細胞という骨をとかすほうがあり絶えず新陳代謝をしています。エストロゲンは破骨細胞を押さえ、骨芽細胞を頑張らすという理想的なかたちでまた腸からのカルシウムの吸収を高めて骨密度を増やします。
 


 上のグラフ(Lancet 1,1981)は閉経後何もしない群とエストロゲン投与群での骨量の比較です。無治療ですと閉経後10年で平均20%の骨量が減少します。このグラフでもたった3年で両者の差は10%に及びます。これが5年10年続けばその差は明らかです。
 しかし、これほど骨に効果のあるエストロゲンもすっかりできあがってしまった骨粗鬆症には効果がおとろえます。できるだけ閉経10年以内に使い始めた方がより効果があるので50代60代の方は是非、骨密度を測って、減少している方はエストロゲンを思い出してください。最近ではビスホスホネート製剤やエビスタもあります。
 

 上の図はAnn.Intern.Med.1995 Osteoporotic Fractures Research Groupというグループによる9704名の閉経後非黒人(白人+東洋人)女性における調査。
 
未使用者を1.0としたときのホルモン使用者の骨折率で、大腿骨骨折は現在の使用者は0.6、前腕骨は0.39。閉経直後からのホルモン使用者は両方とも0.29と骨折が減るというデータです。
 女性ホルモン使用群の骨折率が非使用者と比べずっと少なく、このような大規模疫学調査からHRTが骨粗鬆症治療のスタンダードでありました。米国の骨粗鬆症のホームページ(National Osteoporosis Foundation)、それにメルクマニュアル(医学のスタンダード書)では 日本で売れ筋の薬は食品として勧められています。
 ・カルシウム、ビタミンD必須栄養素です。それに運動は骨維持には非常に大事です。ただ、下に述べていますが、日本のビタミン剤は栄養剤の割には一桁値段が高い!
 
★★健康な方はこれで十分なのですが、骨密度が高度に減ってきている方にはこれだけでは対処できません。しかし、日本では’歳だから仕方ない’と諦められる、あるいは上記のカルシウムとビタミン剤が出されているのが現状でした。
 カルシウムは乳製品に、ビタミンDは卵黄、魚、レバー、海草にそしてビタミンKは納豆に多く含まれています。それがどうしても摂取出来ない方には薬があります。米国ではこの種の薬(ビタミン剤等)は保険適応剤ではなく、マーケットストアでお安く求められます。Supplement
 

続発性骨粗鬆症
 

 2次的に骨粗鬆症を引き起こすことがよくあります。
そのうちで最も頻度が多いのがステロイド(副腎皮質ホルモン)性骨粗鬆症です。ステロイドはどの科でも投与される薬です。リウマチの消炎鎮痛剤としてあるいは喘息の吸入剤(これの可能性はかなり低いが起こりえる)、皮膚科でのアトピー、眼科、耳鼻科また婦人科の不妊症、麻酔科でのブロック注射など色々と使用されます。このステロイド剤の利点はもちろんありますが、重篤な欠点もあります。その最たるものが骨粗鬆症。かなりの頻度で起こりえます。たとえ骨密度が正常でもステロイド使用者の場合は同じ骨密度の健常者に比べ骨折し易いのです。でもご安心ください。このステロイド性骨粗鬆症もビスフォスホネートを併用するとかなりの確率で骨折を防ぐことができます。担当医によくお聞きください。もし担当医の骨粗鬆症に関しての認識が低ければその地区の専門家を探して相談してください。この他に甲状腺機能亢進症透析など腎障害リウマチなど膠原病はその病気単独でも骨粗鬆症に注意が必要です。 
 エストロゲン感受性のある乳癌の術後に約5年間使用されるアロマターゼ阻害剤(アリミディックス、フェマーラ、アロマシン)は骨密度低下作用が強く、特に骨密度の低い方は注意しなければなりません。この薬は閉経後にわずかに残っているエストロゲンを根こそぎ絶やして乳癌の再発を防ぐ目的で使われます。したがって乳癌には良い効果がありますが、そもそも骨粗鬆症の原因はエストロゲンの不足であり、そのわずかなエストロゲンを叩くのですから骨に良いわけがありません。是非、治療開始前に骨粗鬆症検査を受けましょう。骨量の悪い方の治療、予防はこの場合はビス剤です。


 エビスタという薬乳癌発生を未使用者と比べて3分の1に減少させます。(エストロゲンが乳癌発生を増加させるのと対照的に)。ビスフォスホネートと違い服薬の制限が無く、胃腸障害が出ない、またコレステロールが低下するという利点がありますが、欠点もあります。
1.hot flushなどの更年期症状を増悪させること。

2.ビスフォスホネートほどの力が無く、薬剤を中止すると骨への効果がすぐに減弱する。効果を維持させるには継続しなくてはならない。

3.東洋人では非常にまれですが、静脈血栓症の頻度を上げる。 エコノミー症候群が懸念されるので海外旅行時には内服中止する。血栓症の検査を行う。

 ビス剤の副作用

1.胃腸障害    週一回の製剤になってからは滅多に起こらない。当院ではほぼ全例が週一回剤に移行している。

2.非定型骨幹部骨折   普通では折れない大腿骨幹が折れる。
破骨細胞の働きを抑え過ぎると、古い骨ばかりになる。骨質の低下が心配されるので骨代謝マーカーを定期的に調べる。尿中NTX 9.3以下あるいはBAP 9.6以下なら内服中止する。

3.顎骨壊死  ビス剤投与中に歯科で抜歯をすると顎の骨が壊死するという報告がある。 頻度は低いが、抜歯する時には歯医者さんに内服を告げ、抜歯前3か月は内服を中断してから抜歯を行う。

4.心房細動   これも頻度は低いが注射剤での報告がある。

 当院での骨吸収抑制剤の使い分け

1.年齢   50・60才台にはエビスタ、70才以上にはビス剤を原則使用している。

2.重症度  椎体骨折が無いあるいは1個まで エビスタ。骨折が1個以上あるいは大腿骨骨折の心配があればビス剤。

3.使用期間  エビスタにはないが、ビス剤は原則3年間の使用にとどめている。3年経てもビス剤が中断できない重症例にはエビスタに変更して継続。

 骨吸収抑制剤(ビス剤、エビスタなど)は骨吸収が亢進している(高代謝回転型 尿中NTX 54.3以上)方に使用する。低代謝回転型(尿中NTX 54.3以下、BAP 35.4以下)の方には(
骨形成促進剤。


フォルテオ(テリパラチド)


 PTH製剤(テリパラチド)が発売されました。この薬は作用機序がこれまでの薬と大きく違います。骨形成促進剤であり、副甲状腺ホルモンを間歇的(1日1回)注射することで一端は骨吸収を高めるが、骨形成を強力に促進します。腰椎・大腿骨骨折抑制率、骨密度改善効果はビス剤の比ではなく大きく、また骨質改善効果もあります。ただ、現在ビス剤使用者やその効用(破骨細胞壊死、骨芽細胞減少)が残っている方には、その効果は望めません。
 今後の重症者にはまず、PTH製剤を24か月使い、その後にビス剤あるいはデノスマブを使って増えた骨量を維持するという選択になると思われます。PTH剤で増えなかった大腿骨がここで初めて増えます。ただ薬価が高額であること。インスリンと同じような自己注射であります。
ビス剤あるいはデノスマブとPTH剤の間欠投与も有望かもしれません。



 PTH製剤はそのPTHの機序から、作用する破骨細胞が元気でなくては効果は発揮できません。ビス剤は破骨細胞をアポトーシス(壊死)させることにより効果を生んでいる薬であり、ビス剤は一端、骨についたらその良い効果も悪い効果もなかなか失せないのが長所でもあり、短所なのです。したがってビス剤とPTH製剤の併用は禁忌ではないが、併用してもビス剤単独の効果しか出ないことになります。

 PTH製剤の骨密度増加作用は測定部位で大いに異なります。
 腰椎ではビス剤の2倍強の増加が望めますが、大腿骨ではビス剤程度。また、末梢の皮質骨(橈骨)ではかえって減少することが多いです。したがってPTHの効果判定は腰椎で行う必要があります。これはビス剤でも同じですが・・・・・わが国の骨密度測定機器は末梢骨測定が大半です。これが以前からの骨粗鬆症診療の大いなる問題点です。
 
たかが骨密度ですが、患者さんは効果(骨密度が増える)がなければ、治療を中断することが多いです。血圧の下がらない降圧剤のようなものです。そんなものは飲みませんよね。


    骨粗鬆症の診断基準


大腿骨・椎体に脆弱性骨折があれば、骨密度に関係なく即骨粗鬆症であることになりました。


以前はX線の所見が大きなウエイトを占めていましたが、現在ではX線評価は骨折の有無に用いられており、かなり比重が下がりました。次に骨密度が重視されましたが、骨密度が良くても骨折することも多く、最近では骨質が大事だと盛んに言われています。

★★★
 一般に体格の良い方は骨密度が多いです。体重が重いのにも関わらず骨密度が低ければ、転倒した時の大きな衝撃に耐え切れない。反対に華奢な方は転倒しても衝撃が少ないので、それほど骨密度が少なくても良いはずです。神様はそのように人間を創っておりますが、たまに例外があります。それを見抜く力が大事です。多くの骨密度測定装置はその測定原理上、体格は一切関わっておりません。密度とは立体の体積密度(/cm3)ですが、ほとんどの骨密度測定器はレントゲンで投影された面積骨密度(/cm2)です。従って体格差は全く考慮されていません。、例えば子供の骨密度は低く出るのです。これは骨粗鬆症診断上とても重要なことですが、そういうことは何も分かってなく、骨密度だけを鵜呑みにしている場合があります。


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院長は日本骨粗鬆症学会認定医です



 
 簡易な測定法(前腕・かかと・手の指)などの方法もありますが、


これは前腕の測定器


これはかかとでの測定法

これは手の指での測定法
















各装置間で測定値の相違が多く、また
治療効果の判定
など詳しい精度を必要とする場合には末梢骨用は不向きです。



正式には
全身骨密度測定器HOLOGIC社(QDR4500W)主に腰椎と大腿骨測定を約30秒で正確に行います。
現時点で骨密度を一番正確に測定する機器です。この種の機器でのみ治療薬の効果判定をすることが出来ます。
全身型にも各社ありますが、HOLOGIC社製が精度が高く、世界的に一番信頼されております。





 下図は婦人科で多く見られる子宮筋腫や子宮内膜症の治療薬の患者さん用パンフレットです。この薬は若い人の女性ホルモンを出さなくし、わざと更年期をつくるものです。すると、筋腫、内膜症は良くなりますが、骨密度が低下するので長期間使用はできないことが書いてあります。
 若い人でもエストロゲンが出なくなると骨量が減り、また、月経が再開すれば、元にもどりますが、長期間使用して回復不可能な状態まで使用してはいけないことが、このパンフに書いてあります。
 骨にいかにエストロゲンが重要かがうかがえます。


 ★最近午前中の尿中にどれだけ骨が溶けだしているかを調べる検査が保険適応されました。心配のある方は病医院で是非測定してみて下さい(かなりの閉経後女性が高値です)。
 骨を溶かさないようにする薬がエストロゲン(女性ホルモン)ビスフォスフォネート、それにエビスタです。(尿中NTX(9.3〜54.3が正常値)あるいはデオキシピリジノリンDPD(2.8〜7.6)という検査です)・

現在はTRAP5b(120〜420が正常値)という血液検査で測定しています。


 検査としてかなりの精度と信ぴょう性があり、どんどん溶けだしている方は危険です。使用薬剤を選択する1番の指標となると期待されています。
 ★常識的に中高年になれば新たに骨を作り出す(骨新生)ことには多くは期待できません。そこで、例えて言うならば漏れている蛇口を閉めるのが有効なのは当然で、これを欠いた治療では効果はほとんど望めません。


 ★尿中にたくさん溶けだしている方にビタミン剤では効果ほとんど望めません。
 ★家計簿あるいは国の財政と同じです。つまり、無駄な支出を抑えなければ、いくら給料を増やしても(それは残念ながらまず無理)、収支は健全化しないという当たり前のことを言っているのです。


   当院でのDXA骨密度の変化
骨は増えるのだ!



 
 65才女性 4月20日には骨密度0.623骨粗鬆症と診断。
この後エストロゲン内服薬使用8か月後12月21日には 骨密度0.704
半年で実に13%骨密度が上昇した。
 次はビスホスホネート

 
 61才女性
 6/20 QDR0.629が12/27 には0.709 実に12.7%増加。その後も12%増加。
上記2例は各2剤で一番効果が出た症例だが、多くの方が骨密度が増加する。(ただ、両剤ともに反応が見られない方が若干存在します。)


いずれにせよ!
 ★カルシウムとビタミンでは決して増えない。
従来からのダイドロネル使用群でも半年で最大6%増加しております。
 このようなデータからも明らかに骨粗鬆症には女性ホルモンビスホスホネートあるいはエビスタ中心の治療が必須と考えられます。

★ただ上記2例は腰椎の骨密度測定ではこれほど骨密度が増えて治療効果が現れましたが、残念ながら前腕の測定器ではその効果が出ませんでした。ここが現在の骨粗鬆症診療における重大な問題点です。患者さんは治療効果がなければ治療を中断してしまうのは当然です(本当は骨密度が増えているにもかかわらず)。
 わが国で普及している骨密度の機器は大学病院等大病院は全身用機器を使用していますが、残り多くの病・医院は末梢型(前腕、踵、中手骨)を使用し、それで診断しています。ところが機器間の乖離や上記のように末梢では治療効果が現れにくいのです。そこで時々全身用で測定することが必要です。
 また骨代謝マーカー検査が測定可能ですが、測定は治療前と投与開始後の2回しか保険では認められておらず、長期の服用が必要な患者に服薬を継続させるには難しい環境にあります。

 ★★カルシトニン(注射薬)
 この注射はよく使用されていましたが、H15.12月骨粗鬆症治療の適応がはずされ、骨粗鬆症による疼痛軽減目的に6か月間だけの適応となりました。骨粗しょう症による疼痛軽減には効果があります。しかし、残念ながら、骨密度増加・骨折予防効果が無いことが判明しました。


 うちの小学生の娘に描かせた簡略化した模式図
(骨を浴槽にたとえて、患者さんへ骨粗しょう症治療の簡単な説明に使用している。家計簿や国の財政と同じ!!!)


穴の開いたタイヤに空気を入れる人はいない。まずは穴をふさぐ。
骨粗鬆症の治療も同じです。(ただし、穴が開いている方の場合です。漏れていないタイプの骨粗鬆症には次世代薬の登場を待つしかない)















運動療法

 長期寝たきりで動かない状態が続くと筋肉・骨が減ることはよく、体験します。宇宙飛行士が長期に無重力で生きていると生還した後にかなりの骨量減少があることは証明されています。しかし、ただ闇雲に運動をすればよいというものではありません。女子マラソン選手が疲労骨折をよく起こすという事実があります。一流選手になるような方は体重減少で無月経になることがよくあります。つまりエストロゲン不足も骨折の重要な原因の1つです。
 運動が骨には良さそうだと経験上は誰もが感じておりますが、運動療法が骨折抑制をするという確固たる証拠エビデンス)はどこにもありません。つまり、通常の日常生活で暮らした群と、ある種の運動療法を行った群との比較。この両群での骨折の差の確固たる証拠を得ることは非常に難しいのです。例えば薬の効果判定のように調査が単純ではないことがその難しさに挙げられます。今、言えることは1日30分程度のウォーキングは骨の維持というより、筋力増強して転倒予防効果は確実にあると思えます。。

FRAX

WHOの骨折危険率判定ツールFRAXがネットでも気軽に利用できます。これは骨密度測定が不可能な低開発国向きに開発されました。骨密度を入力しなくても既往・家族歴などを入れると骨粗鬆症が判定でき、簡便です。
ただし、80歳以上の方はほぼ全員治療しなくてはならぬ領域に入ること。反対に60歳以下ではいかに重症でも問題なしと判定される危険性があります。つまり結果が年齢に大きく引っ張られ過ぎます。したがって65〜75歳の方に限り骨折危険判定に用いております。




出典Clinical Calcium Vol8.No9,1998 白木正孝先生
日本では骨粗鬆症認可薬が多く、使用目的に応じて薬剤をくわしく吟味しないと非効率的に陥りやすいと警鐘を鳴らされている。
当院の骨密度装置QDR4500での自動解析では
左図は治療開始前             右図は治療開始後


骨密度が非常に低く機器の自動解析では骨と認められない左図が治療開始6か月で右図のように骨がせり上がってくる!

和田産婦人科ホームページ