低用量ピルについて



<やっと、日本でも低用量ピルが認可されそうです>と予想していましたが、またまた、またまた、天の一声でピル解禁が流れていましたが、99年欧米より遅れること実に40年、ピルは認可されました。
  ”避妊率は99.9%、しかし、エイズなどの性感染症は低用量ピルでは防ぐことができません。
 
 日本人ほど臓器移植にはきびしく、堕胎に寛大な国民はいないといわれています。そして、コンドームなど従来の避妊では悲惨な中絶は後を絶ちません。
 ピルとは卵巣から出ている2種類の女性ホルモン(エストロゲンと黄体ホルモン)の合剤で、主な作用は排卵を抑制し、避妊します。ピル開発の歴史は避妊率を下げずにホルモン量を減らす歴史であり、あらゆる薬の中でピルほどその安全性を世界中で研究、調査されたものはありません。低用量化により副作用がほとんどなくなり、その効果、安全性、快適性、調節性の良さから現在最もすぐれた避妊法です。
 ところが、日本では人口抑制につながる可能性や、エイズの蔓延につながるかも知れないという危惧から、また必要以上に副作用が強調され、認可されませんでした。(ピルが認可されていなくても少子化は急速に進行していますし、クラミジアという性病は外国と同じ頻度で多くの若者に蔓延しています。つまり、ピルの解禁はこの2つの問題には影響しません。)
 多くの日本人はコンドームを避妊目的で使用し、性病予防目的にはあまり使用していません。 驚くことに世界中で低用量ピルが認可されていない国はなんと日本と北朝鮮だったのです。認可が遅れた分、ご多分に漏れず、ピルのお値段は諸外国に比べ少し高額になるでしょうが、太るなどの副作用が従来の中用量ピルに比べずっと低いのです。安心して快適なセックスライフをおくるか、びくびくしながら、その上快適性をも犠牲に性生活をおくるのかは本人の決断次第です。
 今まで、日本で使用されている中用量ピルは不正出血などの治療薬を避妊に流用していました。
 修学旅行中・高校生が月経期間の変更目的で使用されるピルも中用量ピルであり、なんと低用量ピルの2倍ホルモン含量がある。
 しかし、この目的のピルでは副作用をほとんど問題にしない国民が、避妊目的では副作用を非常に心配する。
 その結果中絶が多い。本末転倒?
 インフルエンザワクチンの極めてまれな副作用を過剰に恐れて、毎年何千人も死亡したインフルエンザの対応と非常に似ている。



 日本人の「コンドーム好き・ピル嫌い」は群を抜いている!
ただ、中絶の痛みをあまり伴わない男性まかせの方法(従来のコンドーム法)では高い中絶率を今後も保つと予想されます。
 外国の女性は自分の身は自分で守ります。最近の良いニュースで女性用コンドームが薬局で売られています。
★★なにせ日本は、その何倍の人口を擁する外国と伍して、堂々世界第2位の中絶大国なのです。


 上の図は海外の使用状況。海外では生殖可能女性が1億人使用しており、ピルが避妊のスタンダードです。お隣韓国でも最近は10%を越える使用率となっています。(でも日本は驚くほど島国です)
★日本は望まない妊娠出産が先進国で一番多いと言われています。
望まない子と望んで生んだ子の育て方に違いが出るかも知れません。違いが出るにきまっている!
 
その辺が昨今の教育現場の崩壊倫理の欠如などにつながっている可能性もあります



全くの健康人に使用する薬ですから、副作用が多いのでは困ります。それで他のどの薬よりも厳しく調査、研究された歴史があります。
・悪心や嘔吐など使用後数日だけ現れる副作用が出る人もいます。
・一番心配される副作用は静脈血栓症。これはピル未使用者と比較して3倍かかりやすくなる。
しかし、静脈血栓症自体まれな病気で10万人に10人。それも白人のデータ。日本人は人種的にそれよりかなり少ないと予想されている。ちなみに通常の妊娠中(6倍)よりはずっと安全という程度。
・マイナートラブルとして、低用量のため、子宮内膜が維持できず軽い出血が出ることがある。
体重増加の副作用は日本で行った500名の10年前の調査では無い
乳がんの率にはほとんど関係しない。
子宮頸癌は2倍くらい多くなるというデータがあるが、それは統計の取り方によると考えられる。子宮頸癌の原因の一つにパピローマウイルスといって性交で感染するウイルスが有力。ピル服用者は性行動の活発な方が多い。だから、ピル使用する。未使用者はその逆。2群の分け方に最初からそのような違いがあるデータでは当然発症率は高くなる。ホルモンと頸癌は関係がないと考えられている。
・子宮体癌、卵巣癌はピル服用者の方がかなり、減る。卵巣癌は半減する。
すばらしい副効用として、月経痛と経月量が減る。月経不順は規則的になる。にきび、多毛(毛深い)が減る。
月経前緊張症PMSといって月経前に抑うつ状態になる人は症状が軽減する。
★投与前と使用後に簡単な肝機能検査等の血液検査があります。強制ではありませんが、30才以上の方はピルの使用有無に関わらず乳・子宮検査をすすめます。性病の疑いのある方は検査を受けて下さい。検査は簡単です。
検査する目的は副作用の発見にもありますが、どちらかというと癌検査も血液検査も投与前にすでに異常のある方を判別するために主に行います。すでに乳がんや肝機能異常のある方を見逃し使用されて、低用量ピルが悪者にされる可能性があります。それを防ぐことが主目的であります。
★たばことピルはだめです。併用で静脈血栓症が30倍にも増える。特に35才以上の方禁煙してピルを使用するか、たばこを止められない方はピル以外の方法を選ぶ。
★当院ではピルの薬代はすべて含めて1か月2500円(保険診療ではないので、各施設で薬代が異なる場合がある。)。自費診療ですので、初期の問診で経過が良い場合は何か月分ももって行くことができます。---最近、先生(小生)のいうことはよく分かるが、ピルの値段が高くて使用できないと意見がありました。確かにその通りで、検討中です。
★ピルも薬ですからどうしても体に合わない方もおります。
50人に1人くらい
使用後しばらく経っても吐き気やだるさがどうしても服薬中現れる人もおります。その場合は仕方ありませんので他の避妊法を選んでください。
もちろんわたしの家内も使用しております。

★中用量ピルではホルモン量が多いので太るなどの副作用はありました。しかし、実は産婦人科学会で今までに中用量ピルの重い副作用の報告は聞いたことがありません。
 
しかし、これからは大量にピルが出回るので、いままでよりピルの注意事項の啓蒙が必要だと思います。

セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)という植物(成分ヒペリシン)が健康食品に含まれていることがあり、これとピルを併用した場合にピルの効果が減弱することがあります。  その結果避妊効果が薄れると報告されました。セント・ジョーンズ・ワートは抗うつ作用があるとされています。
 抗うつ作用のある健康食品を使用中の方はその成分を確認して下さい。

子宮内膜症と低用量ピル

 世界的にスタンダードな医学書メルクマニュアルや米国の子宮内膜症のホームページでは子宮内膜症の第一選択薬低用量ピルです。
 しかし、日本での売れ筋はGnRHという女性ホルモンを止める、つまり、一時的に更年期状態にする薬です。低用量ピルは日本では保険適応薬でないので、出しずらいという事情もありますが、内膜症にピルはあまり使用されていません。コストを比較して下さい。
ピル・・・2000〜3000円/月
GnRH
・・・32000〜63000円/月
 
患者さんは保険を使いますので自己負担はこの2.3割ですが、GnRHは非常に高い。元々は前立腺がんの薬です。
 高価なので効果も高か?と思いきや、GnRHは実は再発率が非常に高く、効果はあまり期待できない場合も多々あります。使用中は月経が止まり、痛みが止み、有効ですが、使用後にご自分のホルモンが回復してくると、よく再発します。
 また、無理に更年期をつくる薬なので当然副作用があります。
GnRH使用中に女性ホルモンと併用する方法がありますが、保険適応はありません。結局、重症者は手術が一番(腹腔鏡手術)です。軽症者にはピルを考えてみても良いと思います。
 米国でもGnRHは使用されておりますが、使用する状況の適応がきびしく、この薬を子宮内膜症や筋腫に安易に使用する病院は信用が低いようです。
 骨粗鬆症のところでも触れましたが、日本では値段が高く、効果は薄いが、副作用が低い薬が売れ筋になるのです。こういう制度を何とかしなくては・・・日本がつぶれる。
 GnRHには副作用があります。骨量減少という副作用があるので、がんと違い、いのちに関わらない内膜症には長くても6か月しか使用できません。そこで、何度も繰り返されている方もいるようです。こういう方こそ手術。あるいはピル。
しかし、GnRHは不妊症で使われる場合には非常に有効なことがあります。

GnRH使用の適正状況とは・・・
1.年齢的に閉経が近く、それまでの駆け込み療法
2.手術することが決まっており、それまでの症状の軽減。
3.GnRHを使用することにより、開腹手術から、より侵襲の低い膣式手術への変更の可能性がある場合など


和田産婦人科ホームページ