第1回「さっぽろ下田塾」講義録
おばんです。下田です。私はこの様に人前で話するのがいやになって、自分一人で山の中に入って、コツコツ診療していて良いかなと思っていて、そんな中で薬
剤師さん中心に話していた事もありました。しかしやはり、少し都会にも、ある程度の診療の出来るDr.が
育ってくれないと、僕自身もつらいと言うところまで追い込まれて来ています。(下
田先生の診療所には難病の患者さんが殺到し始めて来て、現在予約患者が2ヵ
月待ちになっている状態です。)
本当はこれは入門講座ではありません。本当の意味で言いたい事、感じとっていただきたい事は、一つは方証一致と言うことで
す。これは非常に大切なことです。もう一つは針と漢方の統一と言うことです。この二つを軸とします。理論を振り回すのでなく、例えば今までの東洋医学は理
屈が先行していますので、実際には解らないのです。この脈は浮であると自身を持って言えますか。胸脇苦満や、柴胡桂枝湯証の胸脇微苦満や心下痞等自身を
持って言えますか。腹直筋攣急や心下痞はどうでしょうか。実は自信を持って言える人は意外にいないのです。実際はこんなものです。いろいろな本があります
し、いろいろ書かれていますが、実際はとっかかりがつかめないのです。ここのとっかかりをつけながら、治せるものは治せる様に、自分の力で証をとらえて方
をとらえる。又、逆に方をとらえて証をとらえる事が出来る様になってもらいたいのです。
理論よりも現実的間題のとらえ方をします。理屈でいくのは難しいです。この脈は浮か?、胸脇苦満は?、
柴胡桂枝湯証の胸脇微苦満は?、これらの事が自身を持って
言えますか。この脈は浮か?、等と迷っていてはとっかかり
が見つからないのです。そのとっかかりをつけながら、証をとらえて方に至る、又、方を決めて証をとらえられるようにやって行きたい。陰陽五行と漢方の理論
が一致すれば簡単に行く様になるのです。その様にやれる様に何とか道すじをつけて自分の力で診断出来るようになってほしいのです。ツムラさんの処方を一通
り解説し終えれば、その間にそれらの事が説明し終えられると思います。
スライドは今回だけです。どういうことをしているかを見ていただきたい。現在、地元、地方、一部は内地からの難病患者さんを800人診ています。
S1 スライド1)雪に埋もれた幾寅町の風景。 |
幾寅町という山の中にい
ろんな患者さんが来ます。町の国保会計が下田先生が来て十年後、9000万
円減っています。それは病気を治療するのではなく、人間を治療するからです。(先
日の某新聞には4500万円減と書かれていましたが、それ
は取材不足で一年後からの計算です。下田先生がくる前に比しては 9000万
円減です。)
こういう医療は皆さんも
出来るようになれます。その為には少しずつ薬から.学んで
いってほしい。始めに言ったように脈浮等という考え方はまずい。そこからとっかかって覚えようとしても治療できる様にはならないのです。今出したスライド
にある治療は最終のものと思ってください。難しいものを出しました。
私もまだ治療できないものがあるのです。実は途上ですが、最近パーキンソン病3人
通院しており、何とかものになりつつあります。難しいです。
西洋医学で難しい病気を東洋医学で何とかならないかというが、西洋医学で難しい病気は東洋医学でも難しいのです。そんな話ば
かりしているから漢方は難しくなるのです。たまに西洋医学で難しいのが漢方でやさしいものがあり、その逆もあります。やさしい病気からやるべきです。そう
すると方証一致が解る様になります。
例えば葛根湯証について。その年によりますがインフルエンザの9割
は葛根湯で治ります。麻黄湯証もあります。両者で95%治
ります。まずその他の5%はあきらめることです。はやり始
めたらお話します。インフルエンザ1000人ぐらい診る
と、葛根湯証の脈が解る様になります。治ったのは95%で5%はこじらせました。人体実験した訳ではなく、私の能力不足だったので
す。傷寒論に出てくる処方をどんどん使っていくと、だんだん解って来ます。葛根湯が効いたら後から聞くと必ず肩がこっていたことが解ります。葛根湯と麻黄
湯とは脈が違うが、脈の間題は別にして両者の区別は次の様です。もうすぐはやり出しそうなので簡単に言います。
インフルエンザはしょっちゅう風邪をひく人はかからない。いつもの風邪薬で治る。家で寝ていて病院へは来ない。インフルエン
ザにかかる人はほとんど葛根湯証か麻黄湯証である。時に白虎加人参湯証もある。これでインフルェンザの95%は
治る。風邪は舌診は役に立たない。難しいと考えないで症状と脈を診ておくこと。外から入る病気と内から外へ出る病気は別の診断方法になる。これを混同して
書いてある本があるので注意してください。舌診は中から出る病気に使いますが、使い方が達います。これからインフルエンザが流行りそうなので、葛根湯と麻
黄湯についてお話ししました。
処方解説に入ります。私は処方のみを解説するつもりはないのです。方剤を知って実際に使いこなせるようにお話ししたいので
す。私の本は薬味の少ないものから多いものへの順番に書かれていますが、それは防風通聖散までです。それ以後の処方はこの本を書いた後に、保険収載された
ものを追加して書かれています。その後、四回ほど加筆したものが皆さんに配られています。以前、札幌の薬剤師さんにお話ししているのとはちょっと違いま
す。少ない薬味から少しずつやっていくと、漢方薬が解りやすくなります。そしてやはり薬物論から入っていくほうが解りやすいのですが、薬物論といっても一
味一味をバラバラにして組み合わせるのではないのです。例えば中医学では一つの証に一つの薬味をあてはめてしまうので、薬の量が証の数だけ増えてしまいま
す。これは間違いです。証がしぼられていくと薬味が減ります。最後まで一つの処方で押し通して良いと言うのではないのですが、物事を大づかみにして行くと
言う事です。一つ一つの薬物を感じ取りながら薬の集団的感覚を感じとって行くことです。
芍
薬甘草湯
芍薬甘草湯そのものを使
うのは少ないのですが、この処方は非常に解りやすい処方です。この処方の入った処方は非常に多いのです。桂枝湯、葛根湯等です。
麻黄湯は入っておりません。芍薬、甘草の入っているほとんどの処方に芍薬甘草湯の意味の薬から受け取る情報が入っています。どんどん使って下さい。何に使
うかと言うと、それは一切の痛みに効果があると言うことです。ほとんどの消化器系、一部は筋肉に作用します。臨床薬理とは体の中でどのような薬がどのよう
に働くかを感じ取ったものです。生化学で言う構造式に基づいた薬理ではないのです。今回の講義は六回シリーズ目です。前にどういったかなと迷う部分もあり
ます。もしかしたら違うことを言うかも知れません。変だなと思うところはその都度指摘してください。私はほとんど自分が経験してわかったものだけをお話し
します。
芍薬甘草湯が西洋医学の薬と決定的に違うのは、例えばお腹にガスがたまって痛んでいる状態に西洋医学の痛み止め等を使うと、
かえてお腹がバンバンになってしまいます。逆にしぼられる様な痛みには西洋医学の薬が効きますが、それほどでもないです。ところが芍薬甘草湯等の東洋医学
の痛み止めは両方に効きます。どうしてそんなに効くのだろうと思います。ペンタジンやインドメタシンよりも効くことがあります。私が離島で診療していた時
に、破傷風の牙関緊急に使ったことがあります。西洋医学の薬を何をやっても痛みがとれず、大の男が涙をポロポロ流していましたが、芍薬甘草湯15gぐらいをお湯にといて口から流し込んでやったら、その場で痙攣がおさ
まり口が開くようになりました。それぐらい強力に効きます。これで治る訳ではないので大病院に送りました。西洋医学の痛み止めは、神経のシナプスを切って
麻痺させるだけです。漢方はどうして効くかと言うと、一口で言えば、芍薬甘草湯、特に芍薬の作用は柔肝益脾につきるのです。西洋医学的には肝は交感神経で
す。東洋医学では肝は交感神経と筋腱です。脾は胃腸、筋肉の血流作用で
す。芍薬甘草湯は肝の緊張をとり、
胃腸、筋肉の血の流れをよくするのです。肝の交感神経の緊張により、脾に影響し脾がいじめられているのです。この状態から来る一切の痛みに芍薬甘草湯は効
きます。例えば私たちも緊張すると胃腸の具合が悪くなります。肝が脾をいじめているからです。
(注:相克関係いじめていると
は右図の矢印の方向に悪影響をおこすこと)
肝の緊張を取ると脾が良
くなり、脾が良くなると筋肉の血流が良くなります。血の流れの前に気の流れが先行します。気の流れとは解りやすくいえぱ、生体の中を流れる生命エネルギー
の流れです。この生命エネルギーの流れに従って血が流れます。この二つがすみやかに流れると局所にある水の流れも良くなります。気と血と水は一体になって
滞ったり流れたりします。一番多い形は肝が緊張し脾が抑えられ、気の流
れが滞り、血の流れが滞ります。気の流れが滞ると、冷えや神経痛が起きます。血の流れが滞る一番はっきりしたものが打ち身で
す。気の流れが滞る一番簡単にみられるのが腹にガスがたまった状態です。何かが滞る一番のものが肝の緊張により脾が抑えられる状態です。だから芍薬甘草湯
がいろんな痛みに使われます。急性の痛みなら芍薬甘草湯です。慢性の痛みは気の流れがもっとシビアにやられるので、痛みと共に冷えが加わって来ます。その
時に使うのが芍薬甘草附子湯です。しかし、細かい治療ではこの二方だけでは出来ないのですが、まず試しにこの二方を使ってみて下さい。そうするとこの二つ
の処方が解って来ます。さっぱりした痛みは芍薬甘草湯が効きます。使ってみれぱ解ります。よく効きます。慢性の痛みはあるいは葛根加朮附湯。五積散、疎経
活血湯に附子を加えたものの方が良いかも知れませんが、まず目をつぶってやさしいものを使うとしたら、芍薬甘草附子湯を使ってみて下さい。西洋医学のブス
コパンや・消炎鎮痛剤を使いたいときに、この二方の漢方を使ってみて下さい。急性の痛みは炎症です。すなわち熱と痛みです。この場合、消炎鎮痛解熱剤を
使っても良いです。しかし慢性の痛みの場合はどこかに冷えが加わっています。場合によっては血行障害が更に加わっているかも知れません。その状態に西洋医
学の消炎鎮痛解熱剤を使うと、解熱作用が重要な副作用となります。処方は解説書を読んでくれれば解ります。しかし私は書かれていないことをお話しします。
例えば、風邪は何故熱が
出るのかについてです。西洋医学ではウイルスと戦うための抗体を産生するのに体内の化学工場を働かせるために体温が高いほうが良いから熱が出ると言う。こ
れは正しい。これに対し東洋医学では風邪は寒邪が入って来るので、それを中和するために熱を上げると言う。この状態を風邪とか傷寒と言うが、これに熱さま
しを使うとダメです。熱さましを使って治るのは軽症のものだけです。ちょうど熱が下がった頃に自力で治ってしまっているのです。本間先生がよく言います
が、インフルエンザウイルスに感染させた兎1000羽くら
い使って実験した話しをします。解熱剤を与えた兎の半数は死にます。死んだ兎を解剖すると肝臓にウイルスがいっぱいつまっています。何もしなかった兎は死
なないそうです。ですから重い風邪に熱さましを使ってはいけないのです。ようやく厚生省がこの間、風邪に熱さましを使うとライ症侯群を起こすことがあると
警告を出しました。それに対し東洋医学の葛根湯は熱さましが入っていません。辛温解表薬なのです。葛根、麻黄、桂枝等はあたためる作用があり、体の中で熱
を上げる必要がなくなるので熱が下がります。うまく行けば風邪の治療は一発で効くことが多いので、一服で効かなかったら処方が間違っていたと思うべきで
す。95%は葛根湯か麻黄湯です。ただし麻黄湯は一服で効
いてしまうので、外来で一服だけ出すのは出しにくいです。実際は大青竜湯か大青竜湯変方を3、4日分出します。大青竜湯変方は、麻黄湯二分の一と麻杏甘石湯か越婢加朮湯
二分の一を合方します。
芍薬甘草湯と芍薬甘草附
子湯をまず使ってみることをお勧めします。と言っても、今まで使っていた処方はそのまま使って下さい。でも芍薬甘草湯で交感神経の緊張をとってやるだけ
で、すごく多くの痛みから解放されることが多いのです。そして芍薬甘草湯証の腹直筋攣急が解る様になります。
左天枢に圧痛があるのは肝と脾が争っている状態です。右天枢に圧痛があるのは肝と肺が争っている状態です。それを尺沢反応で確
かめます。それぞれの天枢の同側の尺沢を抑えると痛がりますが、しばらく押した後、天枢を診ると、圧痛が減少ないし消失します。
そうすると天枢の内側に板状に張っている腹直筋攣急が解ります。尺沢反応はまやかしではなく、真実です。そして芍薬甘草が
入っている処方の証が解る様になります。典型的なのは柴胡桂枝湯ですが、よく診ると葛根湯証や桂枝湯証でも腹直筋攣急が出ているのが解ります。しかし、や
はり芍薬甘草湯と芍薬甘草附子湯の腹直筋の張りが一番強くて基本です。麻黄湯は芍薬が入っていません。したがって腹直筋攣急はありません。柴胡加竜骨牡蠣
湯証は、ほとんど左腹直筋のみに攣急があります。芍薬、甘草の入っている処方は両側の腹直筋攣急になります。この場合、脈診はあてになりません。舌診もあ
てになりません。この二つは急性疾患であてにならないが、一応診ることです。有力なのは右天枢の圧痛です。
大
黄甘草湯
下剤は難しいのが多いの
です。調胃承気湯、大承気湯、麻子仁丸、防已黄耆湯、当帰芍薬散、半夏厚朴湯等きりがありませんが、一番の基本は大黄甘草湯です。大黄は大量であれば瀉薬
となり、少量なら補薬となります。熱寒、上り下り(昇降)は対立概念ですが、虚実は対立概念ではありません。数直線上にあります。
古典には虚なるものは補し、実なるものは瀉すとだけ書かれています。逆かも知れない。
中医学は同じ言葉を使い
ますが、私のは中医学ではありません。古方の考え方が主です。素問、霊枢、難経、神農本草、傷寒、金匱と素問、霊枢のをもとになっている大素をもとに考え
ます。針の本は完全には残っていないが、針の理論はこれらの古典に生きています。漢方では補と瀉はあたかも対立概念の様に言われますが、針では対立概念で
はないのです。軽い刺激が補で、強い刺激が瀉と言う様に。古方家は傷寒論に針の事が出てくるが、あれは後からつけた紛い物だ等という人がいるが、本当は針
と漢方は一致しています。張仲景は針と漢方を一致させてやっています。針のことも少し出てくるが、主として湯液のことを書いているだけの事です。明堂と言
う本があったらしいが、残っている甲乙経というのはあやしい。そんなことで針灸の本は完全には残っていません。大黄甘草湯は常用量の1/4、1/6で
虚証の人に効く事があります。実証の人は、多い人では15gま
で行くこともあります。これで補瀉と言うことが解っていただけたと思いますが、大黄甘草湯は使いやすい処方です。柴胡は瀉薬の代表と言われますが、少量な
ら補中益気湯のように全体として補薬になります。その他ほとんどの薬にも同じ傾向があります。虚実は数直線上にあります。ただし作用部位は変わりません。
例えば、肝に作用するものが量を増やしたからと言って脾に作用すると言う様なことはありません。大黄甘草湯は是非使って見て下さい。意外に子供の便秘、特
に丁度離乳期に便秘になることが多いのですが、この時に使えます。
西洋医学では離乳期に使
える下剤は少ない様です。意外に漢方は子供に飲ませにくいと思っているお母さん方が多いのですが、風邪等の時はただでさえ具合が悪いのに、においのある薬
は飲ませにくいのです。しかし、慢性疾患の場合、証があっていれば飲みやすいのです。例えば治頭瘡一方は大人なら飲みにくいのですが、乳児湿疹の子供はほ
とんど喜んで飲むことが多いのです。治って来ると飲みたくなるようです。大黄甘草湯はよく飲んでくれてよく効くので是非使って見て下さい。その他急性疾患
の場合、自家中毒の五苓散ぐらいしかなかなか飲んでもらえない。しかたなしに西洋薬を出すこともあります。
桔
梗湯
漢方を考える意味で大切
な処方です。それは桔梗湯の命名です。後々の処方の命名は誇大広告みたいであまり当てにならないようです。傷寒、金匱の命名は張仲景がつけたものではない
だろうと思う。その前に命名されたもののようです。おそらく自分で考えた処方と思われるものは、薬味をそのまま羅列しています。例えぱ、麻黄杏仁甘草石膏
湯などのように。しかし麻黄湯は麻黄が主薬です。桂枝湯は桂枝が主薬です。桔梗湯は桔梗が主薬のように見えるから桔梗湯です。分量は桔梗2、甘草3で
薬効は甘草です。ふり出しとして使うなら甘草だけ10分ぐ
らい煮てそれを飲むとノドがガラガラになっているとき、それだけでも効きます。しかし廿草だけなら本来は全身に効いてしまいます。桔梗はその薬効を上半身
に導くのです。これを諸薬を上浮すると言います。喉から器官の上部や口内や顔面に導くのです。あたかも桔梗が作用する部位に効くから桔梗湯と言うのです。
声がかれている時に桔梗湯をお湯で溶いて飲むとすぐ効きます。
僕の友人で東京の音楽大学のすぐ近くで開業している人がいたんですが、歴代、あそこに行くと良いぞと言い伝えられていて、試験前になると音楽大学の生徒
が、続々桔梗湯をもらいに来たそうです。西洋医学ではそんなに速効性がある薬は少ないあですが、桔梗湯はかなり速効性があります。甘草は強拍症状を緩和し
ますが、喉が完全にやられて、強拍症状が過ぎて喉がカラカラになり声が出なくなったら桔梗石膏の証になります。石膏は陰を潤しますが、それを桔梗の作用で
喉に集めるのです。それを入れてある処方が小柴胡湯加桔梗石膏ですが、急性期は葛根湯加桔梗石膏です。小太郎さんに桔梗石膏があります。他に同じ処方名で
肺化膿症に効くと言われる桔梗湯という同名の処方がありますが、後世の人がおそらく勘違いして、この桔梗湯の効能に肺化膿症と書いてある本があります。こ
の二味の桔梗湯は排膿作用は少しはありますが、肺化膿症に効く程ではないようです。次回から7,8あ
るいは10処方ぐらいお話しします。できればそれぐらい読
んできてください。私は主に書いてあるもの以外のことを説明します。もう一つ別の資料(針
と漢方の統一理論)がありますが、追々説明します。東洋医
学の生理学、病理学、解剖学等の基本的な考え方、エッセンスが書かれています。
質
間1
スライドの癌の患者について(音
声が入っていない)
回
答
癌の痛みの止め方を処方
しているのではないのです。体全体の緊張を取るとあの様に楽になるのです。これはちょっと難しいのですが、気の通りをよくすると安心するのです。モルヒネ
もありますがほとんど使うことはありません。癌の痛みとは半分は家族が、半分は医療が作っているような気がします。不安感、
焦燥感を与えることにより、又、患者さんを一人ぼっちにすることによって痛みを訴えさせる状態にするようです。気の通りをよくすると患者さんをとらえるこ
とができて、交流が出来たらよくなります。それは肝の部分ですが…。もちろん薬も使います。十全大補湯とか人参養栄湯を使うのですが、これらには痛み止め
の成分は入っていないのです。生命力を上げるものしか入っていません。自分の気をうまく交流させるのです。腹診の話しをしましたがそれをして触っていると
き、ある時、気がわかります。気は架空のものではないのです。気は物質です。この意味で中医学の言っているのは正しいのです。気は受け取ることも出来ま
す。増やすことも出来ます。感じることも出来ます。腹診を続けていると解る様になります。例えば熱を出すことも出来ます。患者さんで鋭い人は、例えば札幌
から来院する途中、僕のところに近づくだけでも楽になる人がいます。暗示ではないし催眠でもないのです。例えば超音波は今の人は架空のものとは思いませ
ん。昔の人は解らなかったから、例えば犬笛などは魔法と思っていましたが、あれは超音波であることが解っています。
今日はやさしいことをた
くさん使って、だんだん解るようになっていただきたいと言うこと。教えることではなく自分で掴み取っていただきたいと言うことをお話ししました。自分の中
の気を高め、気を交流できるようになるためにタッチングを繰り返してください。私は診療が終わると気が高まっていて、体温が38度くらいになります。シャワーを浴びると下がるのですが。毎目こういう
ことを繰り返しています。中国の気功師などは手から気を発して、手のひらが
真っ赤になったりします。タッチングを繰り返すとある時わかりますし、本人の気も高まります。ちょっと難しい話しをしましたが、以上で終わります。
世
話人挨拶
新
琴似内科クリニック
佐藤満旗夫
私は新琴似で開業してい
る内科医です。20年来あまり勉強もせず漢方を使っていま
した。一年前から下田先生のところに週1回お伺いし、本当
の東洋医学を目の当たりにしています。世話人に買って出た理由は二つあります。一つは下田先生は比較的田舎で医療をされ、治療経過をつかめる診療をされて
いるので、
我々の何倍も治療経験を積んでいることです。我々の外来では治ったら来ない、治らなかったらさらに来ない事が多いので、自分の治療結果が解らない事が多い
のです。次に、下田先生は何か特別な直感の様なものがある様に見えます。その結果、今までの漢方で未知の部分も解明されつつあります。下田先生はCTscanも使いこなし、西洋医学もよく勉強され、西洋医学の追及に耐え
得る東洋医学と言うか、全人医学と表現すべきものを打ちたてつつある様です。
では下田先生よろしくお
願い致します。